
二倍以上を要することになる。
このような事情が勘案されて、五月二七日の同町議会臨時会は、船の撤去費用として一億三千万円を決めた。また、山形県は同日、撤去費用の八三九割を県が負担することを明らかにした(最終的に九割となった)。
このようにして、N号座礁から七カ月ぶりに撤去に向けて動きだした。
この決定に際して「所有者である中国側が所有権を放棄しないうちに撤去すると後々問題にならないか」との心配に対して、町側は「これまでに何度も交渉してきたが、それでも撤去してくれない。国内法に照らしても、最後通告を送れば足りる」との判断を示している。
解体作業
同町の榎本総務課長は「当初一億八千万円を見積もっていたのですが、完全撤去から漁礁として活用することにした分、費用を抑えることができました。最終的には工事費一億三千万円、その他雑費五十万円となり、しかも県がその九割を負担してくれることになり助かりました。しかし、一割の千三百万円を当町が負担することは、町の財政規模からも大変なことなので、今後国にも支援を求めていく考えです」と一山越えたが、まだ次の山があると話す。
解体工事を請け負った建設会社の石井温海営業所長に尋ねてみた「六月一七日から工事に着工しました。まず、同船まで百肘の作業道路を作り、解体作業は七月一八日から、キール、フレームに沿って切断し、全体を三〇ブロックに群体しました。」「船上は、アセチレンガスと酸素、水中は電気溶接様と酸素を使って鉄板を溶かし切りました。作業員は、二〜二〇人ですが、特殊技能が要求されるので全国から応援を求めました。特に、スキューバ潜水での作業は、電気を使っているので体の一部が水面に出ると感電する危険があり、細心の注意を払って作業をしました」などと作業の方法や苦労を語った。
切断された巨大な塊は、クレーン船で沖合四キロの水深六〇メートルに沈めたという。
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